朝、見慣れない封筒が机の上に置かれていた。差出人は「ノヴァリス研究所」。
先月から依頼されていた資料調査の件だと思ったが、封を切ると施設案内と搬入許可証が入っていた。
住所は市外。古い研究施設。建物名だけが丁寧に記され、担当者名は空欄になっている。
施設概要(抜粋)
地下2階は一般立ち入り禁止。
記録室への持ち込みは筆記具のみ。
取材・撮影は禁止。
■■■■■■に関する資料は、担当者の指示に従うこと。
私は司書として、学術資料の整理や目録を扱うことが多い。だが、この研究所の文書は、どこか普通の「研究記録」と違う。
封筒の底にメモがあった。「被験者07」「記憶の上書き」「人格の重なり」。
それは研究資料というより、誰かの告白文のように見えた。