📔 2020年7月の記録
補足記録
断片的な記録は個別ファイルとして保管されています。
新しい月が始まった。梅雨の晴れ間で、利用者が多かった。
常連の利用者#002847さんが、また歴史書を借りていかれた。今月で156冊目だそうだ。読書熱心な方だ。
夕方、地下1階の禁書庫エリアの電気が一瞬チカチカした。電気系統の老朽化だろうか。業者に連絡しておこう。
七夕イベント。子供たちが短冊に願い事を書いていた。
「科学者になりたい」「お母さんが元気になりますように」「世界が平和になりますように」
純粋な願いを見ると、こちらも心が洗われる。
日曜日で家族連れが多い。賑やかでいいものだ。
利用者#003401さん(情報科学の研究者らしい)が「時間に関する論文を探している」と相談に来た。
地下書庫の物理学セクションを案内した。彼は何か重要な研究をしているのだろうか。
閉館後の書庫で、鍵の位置がずれていた。
大したことではないはずなのに、胸がざわつく。
禁書庫付近で、聞き慣れない足音がしたような気がする。
奇妙な出来事。
午後11時47分頃、地下1階で停電が発生。バックアップ電源も作動しなかった。
懐中電灯で確認に向かったが、禁書庫エリアのドアが開いていた。鍵は確かにかけたはずなのに。
中を確認したが、特に異常は見当たらない。ただ、空気が妙に冷たかった。
システムログを確認したところ、23:47:33に ERROR_CODE_777 が記録されていた。
メンテナンス業者に連絡。原因は不明とのこと。
利用者#002847, #003156, #002934, #001823, #003401, #002756, #000142の7名が、この時間帯に館内にいたはずだが...
監視カメラの記録を確認しようとしたが、23:47から翌日06:32までの映像が完全に消失している。
[この期間の日記は記録されていません]
※ システム障害により、データが消失しました
目が覚めた。図書館の床で寝ていた。
どうやって今日の日付が8月10日だと分かるのか、自分でも不思議だ。
時計を見ると、午前6時32分。約26日間の記憶がない。
他の職員も同じ状態だった。全員、7月15日の夜以降の記憶が曖昧だという。
利用者の貸出記録も、7月15日23:47から8月10日06:32まで、完全に空白。
何が起きたのだろうか。
システム管理者メモ
統合思念体アクセスログ:
[2020-07-15 23:47:33] Reality divergence detected
[2020-07-15 23:47:34] Timeline split: 8 parallel branches
[2020-07-15 23:47:35] Observer collapse attempt: FAILED
[2020-07-15 23:47:36] Database integrity: COMPROMISED
[2020-08-10 06:32:15] Timeline convergence detected
[2020-08-10 06:32:16] Memory reconstruction: PARTIAL
[2020-08-10 06:32:17] Data recovery: IMPOSSIBLE
Note: 7人の利用者は、26日間の異なる時間軸を経験した可能性。
各タイムラインでの記録は互いに矛盾し、統合不可能。
システムは1つの現実のみを記録できるため、すべてのログが消失。
暗号化キー: user_id → ASCII → checksum
Primary users: 002847, 003156, 002934, 000142
Verification: 0x7372686C